あるとき、ヨハン・ファウストは、大勢の客を招待したが、何の準備もしなかった。さて、客が集まってから、悪魔達を呼んで、どのくらい速く料理が出来るかと訊ねた。
一人目の悪魔が答えた。「私は矢のように早く料理を用意できます」と。
負けじと二人目が答える。「私は風のように早く用意できます」と。
しかし、ファウストは三人目の悪魔に料理を言いつけた。その悪魔は次のように答えた。
「思想のように早い」と。
昔のファウスト伝説というのは、思想が一番早いと言うことで満足していたのだが、後に、もっと早い物が出てきた。そのはじめとなったのはレッシングで、その未公開のファウストにおいて、善から悪に変わるように早いという表現を使ったらしい。
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