2009-12-19

文明の進化は既存の物語をつまらなくする。

asahi.com(朝日新聞社):英の小切手、350年の歴史に幕 18年までに廃止方針 - 国際

英国の銀行などが加盟して決済制度を検討する「決済評議会」は16日夕(日本時間17日未明)、小切手を2018年までに廃止する方針を発表した。350年続いた小切手文化に幕が引かれそうだ。

たしかに、今はクレジットカード、インターネット、スマートフォン等の普及によって、小切手よりも便利な決済方法が多数ある。しかし、これは既存の物語を一つ、殺してしまうのではないか。

というは、物語として使い古された、以下のような話だ。

とある筋からの代理人と名乗る男は言った。
「それでは、取引は成立ということでよろしいかな。君はこの件から手を引くのだ。その代わり・・・・・・」
男は懐から小切手帳を取り出すと、署名だけして、私の前に差し出した。
「この小切手に、君の好きなだけの金額を書き込み給え」

この、使い古された手法が、

男は懐から、一枚のカードを取り出すと、私の前に差し出した。
「このカードで、君の好きなだけの金額を使い給え」

男は懐から、携帯電話を取り出した。画面は、どうやら銀行口座の振込のようだ。振込先は、どこで調べたのか、私の口座番号であった。
「ここに、君の好きなだけの金額を打ち込み給え」

となってしまうのか。なんだかひどくつまらない話になりそうだ。

もっとも、今に始まった話ではない。携帯電話の普及によって、連絡を取れないことによる誤解や失敗などの話も、いまや使えなくなってしまった。

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