2012-04-07

GNU/Linux移行の感想

GNU/Linuxへ移行してから、今日で二週間たった。だいぶ慣れてきたので、今の状況のまとめと感想を記録しておこうと思う。結果からいうと、私の当初のGNU/Linuxに対する不安は、杞憂で的外れだったことになる。もっと早く移行すべきだった。

まず、GNU/Linuxのパフォーマンスは素晴らしい。Windowsより快適だ。もちろん、私の使っていたWindows Vistaは32bit(何故かアカデミック版が32bitしかなかった)で、HDDも古かったから、単純な比較はできない。公平に比較するためには、同じHDDに最新の安定板であるWindows 7の64bit版をインストールして比較するべきだろう。ただし、今の私にはその比較をする金がない。無料で手に入る自由なソフトウェアが満足できるほど優秀であれば、わざわざ高価で不自由なWindowsを使う理由はない。

私は、十分に調べなければ、モノを安心して使えない性質である。10年前も、WindowsとGNU/Linuxを、まだ所有もしていないのに使い方を調べていた。当時、まだ実際にコンピューターを所有していないのに、GNU/Linuxで一般的なコマンドや日本語環境の構築方法、Xの設定方法、nVidiaのドライバーのインストール方法などを調べていたものである。今回もだいぶ調べてから移行した。結果から言うと、机上の学習に時間を割くよりも、すぐに移行するべきだった。今や、Ubuntuは事前に学ばずとも、簡単に使えるOSになっていたのだ。

Wineについては、私がコンピューターを所有する前からその存在を知っていた。二週間前、つまりGNU/Linuxをインストールする前までは、私はGNU/Linuxに移行して、まずまっさきにインストールしなければならないのはWineであろうと考えていた。ところが、いざ移行してみると、特になければ困るWindows専用のプログラムはほとんどないことが明らかになった。だから、未だにWineはインストールしていない。インストールは簡単だが、インストールする必要性を感じないのだ。思うに、今はコンピューターの利用の多くを、ブラウザーを介したWebに頼っているからに違いない。Chromiumは、Windows版と同じエクステンションを使うことができる。なぜならば、エクステンションはHTML/CSS/Javascriptで書かれているので、OSに依存しないのだ。Webサイトのサービスも、OSに依存しない。

Ubuntuに付属していたPDFを表示できるEvinceは軽くて使いやすい。日本語も正しく表示できるようだ。GUIのテキストエディターも複数ある。今はgeditを使っているが、パフォーマンス的にも問題ない。むしろWindowsで使っていたnotepad++よりパフォーマンスが良い。geditも、Windows環境で試しに使ってみたところ、あまり好感が持てなかったが、GNU/Linux/X環境で使うと、見違えるようだ。思うに、GTK+のWindows移植は、とりあえず動くというレベルなのだろう。

GNU/Linux環境でうれしいことは、主要なディストリでは、ソフトウェアのコンパイルが楽だということである。全く知らない言語とライブラリを使って書かれ、全く知らないビルドシステムを使ってコンパイルするソフトウェアであっても、GNU/Linuxでは非常に簡単にコンパイルできる。ビルドのためのツールや必要なライブラリは、ディストリに付属のパッケージ管理ツールで簡単にインストールできる。不自由なWindowsでは考えられない快適さだ。これならば、プログラミングについて何も知らないユーザーでも、ソフトウェアを自力でコンパイルできるはずだ。

フォントについても、全く不便を感じない。Windowsでおなじみのいわゆるリョービフォントやメイリオフォントはないが、IPAフォントをもとにしたTakaoフォントは十分に実用的だ。

フォント描画に関しては、Windowsネイティブの描画とはだいぶ違うので、最初は戸惑った。しかし、悪いというわけではない。むしろ、DLLラッパーによってWindowsのフォント描画を高品質にするという触れ込みの怪しいgdippの類とよく似た描画方法になる。たしか、gdipp系のDLLラッパーがやっていることとは、目的のフォントサイズより大きなサイズで描画して、優秀なスケーリングアルゴリズムを使い、目的のサイズに縮小するだけだったはずだ。実は、もっとも高品質なアンチエイリアスとは、まさしくその方法である。目的のサンプル数よりも高サンプルでレンダリングして、優秀なスケールアルゴリズムを使い、目的のサンプル数に縮小する。もっとも、3D描画などでは、このような愚直なアンチエイリアスは、パフォーマンス的に現実的ではないから、最近はもっと賢いアンチエイリアス方法が日々考案されているのだが。

結論として、今や、GNU/LinuxはWindowsを代替するのに十分な力を持っている。むしろ、Windowsより優れている点もある。ぜひとも移行すべきだ。特に、プログラミングを学ぶなら最適だ。プログラミングに必要なツールやライブラリのインストールに苦労しなくても済む。ターミナルも高性能だ。自由とかオープンソースなどの利点を持ち出すまでもなく、単純にプログラミング環境の構築が容易なのだ。プログラミングをしないとしても、やはりGNU/Linuxに移行すべきである。圧倒的に使いやすい。

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