2009-08-02

予備自補:頭髪について

坊主頭の人は、注意を要する。

私は、自衛隊の新隊員といえば、全員、強制的に頭を丸刈りにするだろうと思っていた。予備自補はともかく、少なくとも常備はそうだろうと思っていた。これは、数十年前は事実だったそうだが、今は違うらしい。むしろ、丸刈りはあまり好ましくないとまでされている。自衛隊員が訓練中に怪我をすると、色々と面倒で費用もかかる。現在では、怪我防止のため、あるいは怪我の程度を抑えるため、多少の頭髪のあることが望ましいとされている。海自となるともっと極端で、丸刈りは禁止されているらしい。思うに、船というのは狭いし出っ張っている部分も多く、頭をぶつけやすいのも、関係しているのだろう。

実際、基幹隊員の中にも、坊主頭にしているものは、極めて少ない。側頭部をそっていても、頭頂部には髪を残している。丸刈りにしている人も、半分ぐらいは、すでに頭頂部が禿げ上がっているので、ついでに側頭部も剃っているといった具合だ。

というわけで、あまりに長い髪は好ましくないが、坊主頭も、好ましくはないのだ。

とはいえ、世の中には、常に坊主頭でないと落ち着かない人種も存在する。同類として、その気持ちはよく分かる。しかし、不都合がある。もし坊主頭で訓練に参加したいと思うならば、この不都合を受け入れなければならない。

中帽と呼ばれるヘルメットがある。これは通気穴が存在しないヘルメットである。執銃時の基本教練では、必ずこの中帽を被らなければならない。頭髪のある者は、暑苦しい程度で済むのだが、丸刈りにしている者にとっては、中帽は危険である。革ひもが当たって痛いこと、身をかがめただけで簡単にずれてしまうことなどの不都合もあるが、最大の不都合は、熱中症である。丸刈りにしている者は、中帽を被ると、熱中症にやられる。おそらくは、髪がないことにより、汗が流れ落ちて、その場に留まらないからだろう。

熱中症の兆候としては、非常に眠たくなることだ。私の場合、訓練を開始して30分足らずで、立っているのもつらいほど眠たくなった。あまりにひどかったので休憩を与えられたほどだ。最初、これが理解できなかった。予備自補は、訓練として8時間の睡眠を義務づけられている。2200から0600までの間は、トイレの外は、ベッドの中に入っていなければならない。睡眠は十分にとっているはずだ。それが、たった30分、それも、小銃を持ち上げたり置いたりする程度の運動で、ここまで眠くなるはずがない。頭髪を有する者に訊ねても、「確かに暑いがそこまでのことはないだろう」という。しかも、私の頭を指さして、「その坊主頭なら俺より楽だろう」というではないか。果たして私はそこまで貧弱なのだろうか。

否、私のように丸刈りにしている者は、皆同様の症状を訴えるのだ。これは髪がない為である。我々は売店へ走り、争いてヘルメット用のキャップを買った。速乾性が謳われているキャップだ。800円した。このキャップをあらかじめ水で濡らしておいて被り、その上から中帽を被る。革ひもが頭に当たって痛くなることもなく、中帽がずれることもなく、しかも嘘のように熱中症にかからなくなった。

売店で800円もするキャップを買ったのは、髪が極端に短い者だけだった。このことからも、髪の長い者にとっては、わざわざキャップを買うほど切実な問題ではなかったのだと言うことが伺える。

坊主頭に固執する人間は、かならず速乾性に優れたヘルメット用のキャップを買うべきである。

1 comment:

Anonymous said...

予備自衛官補に関しては髪型は自由(常識の範囲内、場合によっては染めていることも黙認)と聞いていますが、本職の自衛官は男子の場合、新入隊員は丸刈り強制だと聞いていますが、違うのでしょうか?新入隊を終えた後は伸ばすことも可能らしいですが・・・