「軍靴の音」という比喩表現がある。この比喩の意味はさておき、一体軍靴とは、具体的には、どのような靴を指すのだろうか。
確か司馬遼太郎だったと思うが、旧日本軍は、まず洋服を着させることから始まったというような意味の文があった気がする。つまり、今までのような着物ではなく、洋服を着せたのだ。当然、下駄や雪駄の代わりに、洋風の靴を履くようになった。
欧米や、洋風の軍隊では大抵、半長靴を履く。これは、すねの半分ぐらいの長さのブーツである。
自衛隊の官品の半長靴には、旧型と新型がある。予備自補で履いたのは、旧型だった。旧型は、すね部分は、ひもをフックで引っかけるだけであり、なんだか心細い感じがする。
この靴、結構硬い。会わない人は、訓練の最後まで、この半長靴に悩まされることになる。そういう人は、文字通りの意味で、音どころか、軍靴そのものが嫌いになる。
ところが、私はといえば、この半長靴が気に入ってしまった。自分用にPXで売っている自衛隊仕様の半長靴を欲しいと思ったぐらいだ。ただ、やはり二、三万するので、買うかどうかは迷っている。半長靴によく会うズボンを持っていないという問題もある。
半長靴は、毎日磨く。ブラシでこすり、ウエスでこする。
余談だが、私はウエスの語源がよく分からなかった。そこで調べてみた所、面白いことが分かった。基本的に、ウエスというのは、使い古したボロ布を使う。シャツだとか靴下がよく用いられる。そういうボロ布は、wasteである。そこから来ている言葉らしい。
ただ、いかに頑丈な足の皮を持つ者であっても、やはり、分厚い靴下を履くべきである。
聞いた話では、常備自衛官の中には、靴の磨き方に独自の理論を持っている人が、少なからずいるらしい。特に、つま先の光らせ方については、異論が多いのだとか。
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