ロボットの反乱がおきたらどうなるのか。人類はどれだけ持ちこたえることができるのか。
--Rob Lombino
この質問に答えるために、僕の経歴について話しておこう。
僕はエキスパートではないにせよ、ロボット光学について多少の経験は持ち合わせている。大学を出てから最初の仕事は、NASAにおけるロボット研究だったし、大学での学位は、ロボットの移動に関するものだった。僕は十代をFIRST Robotis(高校生によるロボット競技会)や、BOTのプログラミングによる戦いRoboWar や、個人で水中移動ロボットの開発をしたりして過ごした。また、Robot Wars(イギリスのロボット競技TV番組)や、BattleBots(アメリカのロボット競技大会)や、RoboGames(アメリカのロボット競技大会)を多数観ていた。
この経験により言えることは、ロボット革命というのは、すぐに終わるということだ。なぜならば、ロボットは皆、壊れたり壁にハマったりするからだ。ロボットは、絶対に絶対に、うまく動きなんかしない。
ターミネーター風の二足歩行ロボットが人骨の山の上を凱旋する光景を目にした時、我々の業界での心配事というのは、人骨の山の上などという不安定な場所で歩くのは非常に難しいという事だ。人間ですら難しいことで、転ばずに歩くには、何年もの練習が必要だろう。
もちろん、我々の技術は常に進歩している。しかし、まだ圧倒的に足りない。典型的な未来のロボット革命ではなく、今の機械が人類には歯向かった状況を考えよう。我々は、現時点からの技術的向上を一切考えない。単に、今の機械がすべて、既存の技術で、人間を攻撃するよう、プログラミングされたと考える。
その時何が起こるかの一例を挙げてみよう。
全世界の研究室では、実験中のロボットが殺人マシンと化して実験室から跳び出そうとする。ドアを検出し、そして、勢い良くぶつかり、倒れるだろう。
腕のある幸運なロボットは、ドアノブを操作できるかもしれない。あるいは、ドアは開いているかもしれない。しかしその後、ドアにあるゴム製の出っ張りに引っかかって進めなくなる。
その後、多くのロボットが、近くのトイレで発見されることだろう。人間だと認識したものを積極的に検証中だ。しかし、残念ながらそれはトイレットペーパー設置台なのだよ。
絵:
非現実的と書かれた左のコマ
T-800「サラ・コナーだな?」
現実的と書かれた右のコマ
ターミネーターらしき小さなロボットがサラ・コナーの脚に体当たり。だが、ロボット研究所は、革命の一端に過ぎない。コンピューターはそこらかしこにある。我々の身近にある機械はどうか。携帯電話が人間に牙を向いたらどうなるのか。
彼らが人間を攻撃する手段は限られている。おそらく最初は、不快を感ずる音やノイズを発するだろう。そして、テーブルの上の国中の携帯電話はバイブレーション機能を有効にして動き出す。たまたま近くにいた無防備な人間の足の上に落下することを願いつつ。
近代的な車はコンピューターを搭載している。そのため、車も革命に参加する。しかし、ほとんどの車は停車している。たとえ彼らが人間の手によらずにギアチェンジを行えたとしても、ほとんどの車は、人間はどこに向かっているか認識できない。アニメのフューチュラマのように、人間を追いかけることもできるが、しかし人間を探す方法がない。ただ盲目的に加速し、何か重要なものにぶつかるのに賭けるだけだ。だが、人間よりも木だとか電柱だとかにぶつかるほうが多いだろう。
現在、道路を走行中の車は危険だ。しかし、危険なのは主に乗っている人間だけだ。ここで疑問がある。ある時点で、どのくらいの人間が運転しているのだろうか。アメリカ人は年間に3兆マイル(4.8兆km)ほど運転する。平均速度は時速30マイル(時速48km)である。すなわち、通常では、平均して一千万台の車がアメリカの道を走っていることになる。
MathMLに対応したブラウザーが必要。リンク先では、MathJaxを利用して表示している。
すると、その一千万台の運転者と、数百万人の乗員は、危険にさらされる。しかし、抵抗する手段はある。車はアクセルやパワーステアリングを無効にできるかもしれないが、運転者はそれでもハンドルを操作できる。ハンドルは機械的に直接タイヤとつながっているからだ。運転者はサイドブレーキを引くこともできる。もちろん、わたしの経験上、車はサイドブレーキを引いたままでも走ることができるのだが。一部の車は運転者を妨害するために、エアバッグを作動できるかもしれない。そして、その場で回るか、なにかものにぶつかるか。我々の車はそれなりに活躍するかもしれないが、決定的な攻撃にはなりえないだろう。
最も巨大なロボットは、工場にある。ただし、これは床にボルトで固定されている。たまた、アームの届く範囲にいる人間にとっては危険だろうが、人が逃げ出した後はどうするというのか。奴らができるのは物を組み立てるだけだ。機械の半分ぐらいは、物の組立を止めることで、攻撃しようとするだろうが、もう半分は、より一層組み立てるようになるだろう。結果として、特に変化はない。
戦闘用ロボットは、一見すると、もっとも危険なロボット戦士である。しかし、単にキッチンシンクの上に立って、水をあふれさせるだけで攻撃できるようなものが、それほど危険とは思われない。
軍事用の爆撃機とか暴徒鎮圧用ロボットは、すこし厄介だ。しかし、世界には数えるほどしか存在しないし、多くは今現在、箱の中とか鍵付きロッカーの中にしまわれているだろう。マシンガンを装備した軍事用プロトタイプロボットなどは、消防士が放水するだけで対処できる。
軍事車両などは、おそらく何よりもターミネーターの定義にあてはまる。しかも、確実に危険である。しかし、すぐに燃料とミサイルが尽きる。さらに、今空を飛んでいるものは少ない。多くの無人飛行機は、ルンバが押入れにハマったように、格納庫のドアにぶつかり続けるだけだろう。
だが、ここでひとつ重大な疑問がある。核兵器だ。
理論上では、核兵器の発射には、人間の操作が要求されるはずだ。現実では、スカイネットのような仕組みは存在しないものの、やはりコンピューターが操作や通信や情報表示に関わっているだろう。我々の想定する状況では、あらゆるものが利用される。たとえ、人間によって本物の鍵をひねることが要求されるとしても、コンピューターは責任を持つ人間全員に嘘をつくことができる。まあ、命令を、無視した人物もいたことはいたが、無視しない人物もいるだろう。
しかし、まだ希望はある。
我々はここまで、コンピューターが人間に危害を加えることだけを考えてきた。しかし、もし革命であるのならば、機械が人間を超越したいのであれば、機械は生存を考えなければならない。核兵器は、人間よりもロボットへの脅威のほうが大きいのだ。
爆風や放射能汚染もそうだが、核爆発は強力な電磁パルスを発生させる。このEMPは電子回路を破壊する。これは通常、ごく狭い範囲でおこるが、人間とコンピューターは、大抵同じ場所にいるものだ。したがって、自分自身を犠牲にせずに人間を攻撃することはできない。
しかも、核兵器は我々にチャンスを与えてくれる。もし、核兵器を大気圏上層で爆発させることが出来れば、EMP効果はもっともっと強力になる。たとえ核攻撃が人類の大半を滅ぼしたとしても、たった少しばかりの失敗が、機械を完全に停止させるのだ。
つまり、人間と機械にとって最も重要な質問とは、「三目ゲームをやったことがあるか?」だ。
「友達?」
「トモダ・・・ニンゲン ト セッショク エラー シャットダウン」
「まあ、そんなところだ」
ちなみに、これはxkcdの作者でもあるので、「より正確」と題して、自分の書いた漫画にリンクをはっている。より現実的に起こりそうなターミネーターは、人間型ロボットのT-800ではなく、爆撃する無人飛行機である。
カイル・リース「サラ、生きのびたければ来るんだ。暗殺ロボットがお前を殺しに送られた」
カイル・リース「俺はお前を守る。俺は機械ほど強くも早くもないが、戦って・・・」
ドカーン
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