2009-07-13

同訓異義:いふ

同じ訓読みをする漢字は多数ある。つまりそれは、日本語の上では、区別してこなかつた、微妙に違う意味を持つ言葉だ。訓読みが同じなので、昔から混用されてきたし、現代日本語では、一部の訓読みは、あるひとつの漢字に統一されてしまつてゐる。また、日本語IMEはいくつかでているが、どれも文脈を考慮して漢字を使ひ分けるほど賢いものはない。そこで、間違うことがよくある。私も、わざわざ入力した文章の漢字変換を訂正するのが面倒なので、大抵は、そのままにしてしまふ。

謂:評価していふ。意味をいふ。相手に告げていふ。例、「ぬことは猫の謂ぢや」

云:人や、書物からの言葉を引用するときに用ゐる。例、「詩に云ふ、五白は優れた猫なりと」

曰:これは、人の言葉などを次に示すのに用ゐるらしい。英語のsayにあたるそうだ。例えば、論語では決り文句のような、「子曰」など。また、人や物事の名称を表すのに用ゐられることもあるさうだ。

言:物をいふという意味らしい。名詞と動詞の両方で用ゐられる。例えば論語では、「子張曰、書云、高宗諒陰三年不言、何謂也」などという例がある。現代日本語では、この漢字が一般に用ゐられている。おそらくは、名詞と動詞の両方で使われているので、分かりやすかつたのだろう。

道:これも、いふと読む。日本語としてはあまりなじみがないが、漢文では頻出する。意味は、言と同じだが、名詞としては使われていないようだ。

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