2010-02-10

GoogleのTwitterサービスは遅きに失するのではなかろうか

GoogleがTwitterと同等のサービスをはじめるという話だ。しかし、遅きに失するのではなかろうか。

私はMicro bloggingのすばらしさを理解できないが、今日のTwitterの興隆をみるに、価値があるとは認めなければならない。

たしかに、Googleのインフラを使えば、より高速で安定したTwitterサービスを提供できるかもしれない。遅延もないし、サーバーも落ちない。しかし、人気が出るかどうかは、また別の話である。

思うに、Twitter文化は、制限が強く、機能が劣っているからこそ、発展したのではないかと思う。たとえば、このBloggerは、一日中書き続けた文章量であろうと、問題なく投稿できる。当然だ。いまどき、テキストぐらい、実用上、無制限に書き込めなくては困る。しかしTwitterは、たったの140文字しか書き込めない。これは技術的に考えても、不必要な制限だ。しかしこれが、Twitter独特の文化を発展させてきたのである。

具体的には、文章だ。一投稿あたり、140文字しか書けないので、できるだけ短く書こうとする。これは、Micro bloggingの理念と一致する。

短く書くために、URLの短縮サービスが多用される。「私は今、うどんを食べています。」というかわりに、「うどん食べてるなう」で済ませる。「私はJavaがこの地球上でとてつもなく大嫌いです」というかわりに、「Java爆発しろ」で済ませる。「文句をいう、嫌う、遺憾の意を示す」などというかわりに、「disる」で済ませる。

サーバーが遅くて不安定なのも、ある意味、ネタになっているのではないだろうか。

サイトのUIが使いづらいから、専用クライアントが乱立する。

それに、ユーザーは互換性を非常に気にする。なにしろ、ユーザーはすでにTwitterを使っていて、それに慣れているのだ。Googleが、単にTwitterのようなサービスを提供しただけでは、既に構築されたTwitterの牙城を崩すことはできない。

それに、より高機能、高品質なサービスを提供すればいいのならともかく、Twitterは、低機能、低品質であることが、独特の文化を育む要因になっているのだ。たとえGoogleといえども、これに打ち勝つのは、かなり難しい。

2ちゃんねるも同じだ。今、Googleが2ちゃんねるのような掲示板サービスを始めたとする。Googleのインフラを使えば、2ちゃんねるよりサーバーが高速で安定しているであろう。しかも、画像のアップロードのような、付加機能を提供できるだろう。しかし、2ちゃんねるには勝てない。滅びの呪文「バルス」で鯖落ちしない強靭な2ちゃんねるに、何の価値があるというのか。

2ちゃんねるも、専ブラ(専用ブラウザ)という名の、専用クライアントが乱立している。

専用クライアントというのも、面白い文化だ。たとえばGoogle Waveだが、私の予想では、ブラウザのUIより高機能で実用的な専用クライアントは、開発されないだろう。携帯向けなどの、機能を制限しても問題ない、専用クライアントは出るだろうし、現に出ている。しかし、Google Waveの専用クライアントとなると、ブラウザと同じぐらいの大規模なものになってしまう。これは、到底個人の手におえるものではない。

一方、Twitterの専用クライアントや、2ちゃんねるの専ブラは、個人で開発できる規模である。サービスが低機能だからこその規模なのだ。

世の中は、最良のものが常に使われるわけではない。

2 comments:

melpon said...

Google の Twitter 的なものの TL は当然として、それに加えて Twitter の TL が同時に見られるような仕組みを Google の Twitter 的なサービスに入れてしまえば、一部の人が Google 側に行っちゃって TL が見れなくなるからみんな仕方なく Google 側に移動して・・・みたいなシナリオを考えてしまいました。

江添亮 said...

Twitterの問題点のひとつに、まともに検索出来ないということがあるのです。
がそんな事をやったら、Googleの存在意義がなくなるでしょう。